東北大学工学研究科の安藤康夫教授、医学系研究科の中里信和教授、東北大学工学研究科の宮﨑照宣名誉教授は、「スピンセンシングファクトリー株式会社」(SSF)(社長:熊谷静次)を設立しました。宮﨑名誉教授は世界初のトンネル磁気抵抗(TMR)素子の作製に成功した研究者であり、安藤教授は宮﨑教授の後継の研究者として、世界最高感度のセンサを開発しています。また中里教授は脳や心臓など生体が発する微弱な磁界(心磁図、脳磁図)を計測する生体磁気研究を1987年から行っており、国際臨床脳磁図学会を設立するなど生体磁気の応用面で国際的な研究活動を展開しています。脳磁図は、てんかん診断や脳機能マッピングに使われる「磁場でみる脳波」です。 なお今回、SSF社は東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社(THVP)の運営するファンドから1億5千万円の出資を受けました。これによって本格始動が可能となったため、本日、プレス発表を行うに至りました。THVP社は東北大学が100%出資した子会社です。 プレス発表の記事はこちら。
2018年10月25日-27日と横浜で開催されていた第52回日本てんかん学会学術大会において,てんかん学分野の修士課程大学院生,植田和さんが優秀ポスター賞を受賞しました.演題は「てんかん患者の離職回数に影響しうる生物心理社会的要因」です.てんかん患者さんの就労に関する研究では,就職率に着目したものが数多く報告されていました.しかし,今回は新に離職率に関連する要因を明らかにし,てんかん患者さんの就労定着にむけた有用な結果を示すことができました.てんかん学分野にとっては、昨年の小川舞美さん(臨床心理士)に続いて2年連続のポスター賞です。写真は,表彰状(左)と受賞直後の植田和さん(右)と神准教授です.おめでとうございます.
平成29年9月、公認心理師法が「国民の心の健康の保持増進に寄与すること」を目的として施行されました。心理職として初の国家資格です。これを受けての公認心理師養成カリキュラムが、東北大学教育学研究科・教育学部の臨床心理学分野を中心に、文学研究科・文学部の協力も得て平成30年度に開設されました。公認心理師の業務の性質上、カリキュラムとして実習が重視されています。あわせて、チームアプローチ、多職種連携、地域連携が求められています。
平成30年9月28日からの2週間、東北大学病院では公認心理師の養成カリキュラムとしての大学院教育学研究科の博士課程前期1年生を、はじめての実習生として受け入れました。受け入れた東北大学病院の診療科としては、てんかん科、精神科、心療内科、リハビリテーション部(高次脳機能障害科、肢体不自由リハビリテーション科、内部障害リハビリテーション科)です。それぞれの外来や病棟において、医師や心理士を含む多職種連携の臨床実践の様子について学ばれました。
以下、てんかん科で実習を行った4名の学生の感想です。
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心理士が医師や他のスタッフと連携している様子を実際に見ることができ大変勉強になりました。実習を通して様々な経験をすることができ、医療現場で心理士として働いてみたいと思うようになりました。今回の実習で学んだことを今後に生かすことができるようにしたいです。(M.S.)
医師・患者・看護師等、多職種がいる医療現場でその間を取り持つ役割としての心理士像を得ることができた。また、ICFモデルの活用方法もご教授いただいたので、実習での学びとして今後自分でも見立ての参考にしていきたい。2週間で多くの学びをいただいたてんかん科の皆様に感謝申し上げます。(Y.U.)
実習を通し最も印象的だったことは、患者の心理社会的側面のケアも重視されていたことです。その中で心理士の働きを目の前にし、患者とどう接し多職種間でどう動くのかというイメージがクリアに持つことができた二週間でした。(A.U.)
一人の患者さんにじっくり関われる体制ができていることが印象的でした。個人によって症状が異なり、診断も難しいてんかんという病気に、医師は丁寧な外来・回診・病歴聴取を行い、看護師は毎日密に関わり、心理士は本人や家族と面接をするなど、多様な職種が一人のために連携している姿を間近で見ることができました。その中で、心理士は病気だけでなく、患者の個人要因や、家族などの患者を取り巻く環境要因等も含めて今後の介入方針を考えるという重要な役割を担っていることを学ぶことができ、その大変さややりがいも感じとることができました。今後自分が心理士として研鑽を積んでいくうえでとても貴重な経験をさせていただき、実習を快く受け入れてくださった先生方に大変感謝しております。本当にありがとうございました。(S.S.)
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写真:てんかん科で実習を行った東北大学大学院教育学研究科の博士課程前期1年生の4名(後列)、上埜高志教授(同 臨床心理学分野教授、前列中央)、中里信和教授(てんかん学分野、前列右)。
本日開催された東北大学大学院の秋の学位授与式にて、てんかん学分野で博士前期課程(修士)を卒業する坂本美佳さんが、総代として大野英男総長への答辞を述べました(写真)。この総代という役は、全学部の全課程(修士・博士)を通じて一名のみであり、てんかん学分野としても名誉なことだとスタッフ一同、大変に喜んでおります。なお答辞の中では、てんかん学分野での研究の内容についても触れています(総代答辞全文PDF)。
来たる10月14日(日)10:00より、仙台市青葉区の河北新報社1階ホールにて、「学校・職場・社会で『てんかん』への理解を深めるシンポジウム」を開催します。講演では東北大学病院てんかん科の神一敬准教授が「知って安心、てんかん発作のいろいろ」と題して、石巻赤十字病院神経内科の加藤量広副部長が「知って安心、てんかんと就労」と題して、それぞれ講演いたします。司会は東北大学病院てんかん科の中里信和教授です。講演後には来場者の事前質問に答えるQ&Aコーナーもあります。 参加費無料で先着120名様まで。申込用紙は、こちらのPDFから。
去る2018年7月18日・19日の二日間にわたって中里信和教授が韓国の二大都市、ソウルと釜山に招待され、てんかん診療を専門とする学病院の医師への講演を行いました。演題は「Mission of Department of Epileptology: Beyond Seizure Control (てんかん学分野のミッション〜発作抑制を超えて〜」。
2010年発足の大学病院てんかん科では、最新医療の提供に限らず、教育と研究の観点から多くのミッションを持っている、という内容です。具体的に触れられた内容は、1)てんかん学・てんかん科の看板を掲げる意義、2)遠隔てんかん外来の導入、3)遠隔てんかん症例検討会の導入、4)リハビリテーション心理学の導入、5)てんかん発作ビデオの作成と普及、6)入門書籍(患者用、医療者用)の発刊と普及、7)アウトリーチ活動の重要性、などです。
現地のメディアで紹介された記事は、下記のサイトで確認できます(全文ハングル)。
약업신문 | UCB제약, 의료진 대상 뇌전증 심포지엄 성료 |
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닥터W | 한국UCB제약, ‘뇌전증 심포지엄’ 성료 |
아이팜뉴스 | 한국UCB제약, ‘뇌전증 심포지엄’ 성료 |
히트뉴스 | UCB제약 환자 삶에 초첨 맞춘 뇌전증 심포지엄 |
메디팜헬스뉴스 | “뇌전증, 발작 조절만을 치료의 전부로 삼으면 안돼” |
보건타임즈 | 뇌전증 환자 삶의 질 방안, 의료진·환자·사회가 함께 찾아야 |
메디포뉴스 | 한국UCB제약, ‘뇌전증 심포지엄’ 성료 |
메디팜뉴스 | 한국UCB제약 ‘뇌전증 심포지엄’ 성료 |
보건뉴스 | 뇌전증 환자 삶의 질 개선 위한 방안 모색 |
e메디코파마 | 한국UCB제약 ‘뇌전증 심포지엄’ 성료 |
헬스미디어 | 한국UCB제약, '뇌전증 심포지엄' 성료 |
台湾の中華航空では、医師であることを事前登録し、突発事態に対応してもらう制度(機上愛心醫師専案)を開始しました。医師に登録を呼びかけるプロモーションビデオ(PV)の作成においては、てんかん学分野のメンバーが監修した発作ビデオを参考にしたのだそうです。短いドラマ仕立のPVの中では、乗客である男性が「癲癇的状況(てんかん発作)」を起こしますが、同乗していた医師が対応するシーンが含まれています。てんかん発作への偏見もなく、とても上品なPVに仕上がっています。東北大学てんかん学分野への謝辞は最終部分に掲載されています。YouTubeのサイトはこちらです。
臨床脳磁図のガイドラインが論文として出版されました.フリーアクセス(https://doi.org/10.1016/j.clinph.2018.03.042)ですので,興味のある方は是非,ダウンロード願います.この論文の執筆者は,国際臨床神経生理学会が主導し中里教授も参加した国際チームです.脳磁図計測の原理や生理学的な基本から,実際の計測や解析にいたるまで,幅広い事項が紹介されています.
第12回日本てんかん学会東北地方会が,清水宏明先生(秋田大学大学院 脳神経外科学講座 教授)を大会長として,2018年7月21日に秋田市にぎわい交流館AU(あう)で開催されます.プログラム・抄録集が公開されています.(こちら)
遠隔会議システムによる「てんかん発作症状に関する入門講義」と,実際の「てんかん症例検討会」との組み合わせが,実際に会議室に集まって行う場合に比べて勝るとも劣らない,という研究論文が,雑誌 Epilepsy Research に発表されました.専門医の少ない地方都市や発展途上国において、てんかんに詳しい医師を養成するために,遠隔会議システムは今後ますます普及していくものと期待されます.筆頭著者は,一昨年に医学生が選ぶ「ベスト・ティーチャー賞」に輝いた柿坂庸介講師です.Kakisaka Y, Jin K, Fujikawa M, Kitazawa Y, Nakasato N: Teleconference-based education of epileptic seizure semiology. Epilepsy Res 145: 73-76, 2018 (https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920121118301189)