てんかん学分野・てんかん科 ようこそ

てんかん学分野では、てんかんという疾患を究めます

これまで日本では、てんかん学を掲げた研究室はありませんでした。
ありふれた病として軽視されがちだったのです。
確立された治療法でも普及が不十分なために、良くなるはずの患者さんが悩みを抱え続けているのも事実です。
治療法の開発や、偏見をとりのぞく活動でも、やるべき仕事は多いのです。
私たちは「てんかん学分野」を名乗って、疾患と疾患への偏見に、正面から立ち向かいます。

てんかんは、脳の興奮(=発作)をくり返す疾患です

脳は頭蓋骨の中にある柔らかな臓器です。
体が受けとる刺激を感じたり、細胞のネットワークで考えたり、の各部位に動きの命令を出したりします。
脳の一部が異常に興奮すると、てんかん発作がおきます。
発作では、おかしな刺激を感じたり、おかしな考えをしたり、おかしな記憶がよみがえったり、おかしな指令でからだの一部が勝手に動いたりするわけです。

有病率は約1%で、日本の患者数は100万をこえます

赤ちゃんからお年寄りまで、いつでも誰でも「てんかん」と診断される可能性があります。
有病率は人種や国を問わず約1%であり、日本には100万人以上の患者さんがいます。
しかし、みずから病名を公表する人は少なく、また病院の公式診断名には原因疾患名だけを用いがちであるために、てんかんの患者数は実際よりも少なく見積もられているのが現状です。

最新治療で、多くの患者さんは普通の生活を送れます

てんかんは治らない病気でしょうか?
患者さんだけでなく、医者や看護師、あるいは神経疾患の専門医でさえも「てんかんは治らなくてもしかたがない」と考える人がいます。
実際には、正しい診療で8割近い患者さんが普通の生活をおくれるといわれています。
専門治療の存在が無視されがちな現状は悲しむべきことです。医学は日進月歩。
10年前の常識が今は非常識、とさえ言われています。

発作以外の悩みも多彩ですが、一緒に解決しましょう

てんかんでは発作のない時でも、継続する症状や悩みがあります。
個人差はありますが、記憶障害や抑うつ症状に悩む方、薬の副作用に悩む方、運転免許や仕事で悩む方、妊娠や出産に悩む方、周囲の偏見に悩む方など、様々です。
人生すべての悩みが、病名だけで大きく感じられるかもしれません。
てんかん学分野では、この悩みも解決すべく、たくさんの専門家とチームを組んでいます。

画像:中里信和

てんかん学分野では、てんかんという疾患の医学的問題や、その周辺にある社会的問題にも取り組みます。
てんかん学を究めることは、脳の機能を探求することにつながります。
てんかんという病を理解することは、人間の存在を理解することにつながります。
てんかん学を通じて、さまざまな分野で活躍できる人材を育てることが研究室としてのゴールです。

平成29年2月

東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野 教授
東北大学大学院医学系研究科 神経電磁気生理学分野 教授(兼任)
東北大学病院 てんかん科 科長(兼任)
東北大学病院 てんかんセンター センター長(兼任)

中里信和